海色の世界を、君のとなりで。




「一年間ありがとうございました。次はいよいよ三年生です。学校の顔となれるよう、日々努力を怠らずに頑張ってください。それではよい春休みを」


 そんな担任の言葉を聞いて、クラスが喧騒に包まれる。

 修了式を終え、やっと終わった、と安堵すると同時に、こうしてはいられないとすぐさま立ち上がり、教室から出て行こうとする存在に手を伸ばして細い腕を掴む。



「……っ!」



顔を向けないまま息を呑む"彼女"。



「話があるの。お願いだから、逃げないで……」



避けられるのは、つらい。


大切な人だから、余計に苦しくて悲しいのだ。


弱々しい呟きに、彼女が小さな肩を震わせる。


それから息を吐き出して、くるっと振り返った。


久しぶりに視線が絡み合って、ただそれだけのことなのに、なぜだか無性に涙が出そうになった。



「……可奈」



やっと、こっちを向いてくれた。


唇を噛みしめて、溢れそうになる涙を堪える。



「ここじゃ話せないから、場所を変───」


「栞ちゃん」



名前を呼ばれ、ハッと可奈を見る。


彼女は目を瞑っていたけれど、意を決したように目を開いてわたしをまっすぐに見つめた。



「栞ちゃんの家に行きたい。私も、話さないといけないことがあるの」