「わたし、バスケット部に入るって決めてるの」
「……ふぅん」
「わたしのお母さんはね、バスケが大好きなんだよ! だからね、わたしも、バスケがだーいすき!」
屈託ない笑顔を向ける彼女は、とても幸せそうだった。
大好きな母がいて、やりたいことがあって。俺とはまったく違うと思った。美しく飾られた世界を生きていると思った。
いったい俺が何をしたっていうんだ。
悪いことでもしたのか。
辛い治療を受けなければならないほどに、命の危機に毎日怯えて過ごさなければならないほどに、悪いことを何かしたのか。
どうして俺だったんだ。
この子みたいに、俺だって毎日笑って過ごしたかったよ。
母にあんな言葉を投げつけたかったわけじゃない。
それなのに、どうして。



