海色の世界を、君のとなりで。


確かめたかった。


栞ちゃんが、星野くんに興味があるのかどうか。


栞ちゃんがどんな反応を示して、私の言葉に同調するのかどうか。



いつも冷たい態度をとる栞ちゃんを見て、安堵して。


それでも、気付いてしまった。



その冷たさは、本物じゃない。


自分自身を抑え込むような、そんなもので。


本当は、逆なんだって。



だから私が星野くんを好きだって思わせるように振る舞ったら、諦めてくれるんじゃないか、なんて。


そんな汚い考えすら浮かんで。



人を好きになるということは、こんなにも幸せなのだと。


そしてこんなにも苦しいのだと。


私に教えてくれたのは、紛れもなくあなただった。



好きな人のことは、嫌でも分かってしまう。


ずっと、誰よりもそばで見ているから。


表情の変化や、仕草。


照れたときや何かを誤魔化す時に髪を触る癖だって知ってる。



修学旅行の日、私の質問に対して答えながら髪を触っていたのだって、見てた。