「……助けてくれて、ありがとうございます」
「全然!可愛いからああいうのまくの大変でしょう。……一年生だよね?」
こくりと頷くと、花が咲いたような笑みを浮かべる彼女。
ぱあっと世界が華やぐような、そんな笑顔。
「わたし、成瀬栞。同じ一年生だから、タメ口でいいよ。あなたの名前は?」
「……小鞠、可奈」
「可奈、可愛い名前だね。よろしくね」
差し出された手をおずおずと握ると、ぎゅっと強く握り返される。
血液がものすごい速さで全身を駆け巡るような感覚がする。
「……その眼鏡」
「え」
「伊達?」
こてん、と首を傾げて眼鏡を見つめる彼女。
「……うん、伊達」
「じゃあ目が悪いわけじゃないんだ。てことは、さっきみたいな輩が寄り付かないようにするためかな?」
「ふふっ……そう」
自然と笑みが洩れてしまう。
なるほどね、と呟いた彼女は、急にわたしの眼鏡に手を伸ばしてそれをさらってしまった。



