海色の世界を、君のとなりで。


ドンッ、と分厚いノートを机に置いた先生は、ペラペラとページをめくり「あった」と呟く。

細かく色々な情報が書き込んであるそれは、先生自前のノートらしかった。


「蛙化現象ね……。近年よく耳にするようになった言葉だけど、名前がついていなかっただけで現象自体は昔からあるみたいよ。私も以前少し調べたことがあるんだけどね、女性のうちの約七割以上の人が蛙化現象を経験しているみたいなのよ。だから、結構身近にあるものみたい」

「そう……なんですか?」

「ええ。確実に蛙化とは言えなくても、それに近いような気持ちは経験してる人が多いってこと」


わたしだけじゃなかったんだ。

その事実だけで、幾分心が軽くなるような気がした。