海色の世界を、君のとなりで。


わたしは恋愛をしてはいけない人間だ。


そう気付いたのは、中学三年生のときだった。

正確に言えば、疑惑を持ち始めたのは中学一年生のとき。

疑惑が確信に変わったのが、中学三年生のときだった。


『〇〇くんと〇〇さん付き合ったらしいよ』

『〇〇ちゃんってすごくモテるよね〜。可愛いし』

『でもめっちゃ性格悪いって聞いた』


そんな噂話が飛び交うような年頃。

小学生時代のような『みんな同じくらい大好き!』という感覚とはまた違うもの。


異性として、恋愛的な意味での"好き"。


多感な中高生にはもってこいの話題で、口を開けば恋バナか悪口。

そんな年齢だからこそ、感じた違和感ははっきりで。


『成瀬のことが好きです。付き合ってください』


わたしは少々……急いでいたのだと思う。