海色の世界を、君のとなりで。


そしてそれはわたしのように自分を隠して生きているような、嘘偽りの自分のまま生活しているような人ほど困難だ。


「当たり前じゃない。人間一人ひとり違うんだから、悩みの数だって違う。栞ちゃんの悩みや苦しみを完全に理解してあげることはできなくても、理解わかろうと努力するつもりよ」


まっすぐな瞳。澱みのない目。

先生なら、きっと真摯にわたしと向き合ってくれるだろう。

ただ同情するのではなくて、正しいことを教えてくれるような、そんな気がした。

わたしが新たな一歩を踏み出せるように、大切なことを教えてくれる先生なのだろうと、そんな予感がした。


「……わたし」


しまいこんでいた思いを吐き出す。

心の奥底の汚い部分、見せたくない自分。


深呼吸をして、ゆっくりと口を開いた。