海色の世界を、君のとなりで。


シャッ、とカーテンを閉めた先生は、わたしに椅子に座るよう促し、自らは向かいの席に座った。

机の上に用意されていたお茶はまるでこの展開を予想していたかのように熱いまま用意されていた。


「ゆっくりでいい。できるところまででいい。栞ちゃんはいつも頑張っているんだから、たまには吐きだすことも大切よ?」


言葉によって人から傷つけられたり、自分自身を傷つけたりしているはずなのに、言葉によって救われる。

言葉を放つことで心に固い鍵をかけているはずなのに、言葉によってその固い鍵を外される。


「……どんな悩みでも、いいですか。引いたり、しませんか」


人に相談をしたり、思いを打ち明けるということは、とても勇気のいることだ。