海色の世界を、君のとなりで。


にんまりする先生は、掌を合わせてうっとりとした表情をみせた。

そのようすを見て、わたしは慌てて訂正する。


「わたしと星野は、そんなんじゃないんです」

「え……?」

「彼氏、とか。そういうのじゃないです、星野は」


そう言うと、目を開いた先生は「あら、私ったら勘違いしてごめんなさい」と言って眉を下げた。


「……いえ」

「無責任な発言だったわね。以後慎みます」


ふるふると首を横に振る。

それでもしゅんと落ち込んだままの先生は、体調をうかがうようにわたしの顔をじっと見つめた。


「顔色はだいぶ良くなったわね。身体でどこか気になるところはない?」

「はい。もう大丈夫です」


倒れるのはこれが初めてなので少々驚きはしたものの、星野がいてくれたからなんとか大事にならずにすんだ。