海色の世界を、君のとなりで。


 特別。


 わたしはいつかこの答えを見つけることができるのだろうか。

 正解のないこの世界で、自分なりの、自分だけの正解を見つけることができるだろうか。


 戻ろうとする可奈の小さな背中を、後ろから包み込むように抱きしめる。


 可奈が小さく息を呑んで「なぁに……?」と呟いた。


「ありがとう、可奈」
「……なにが?」
「───…ぜんぶ」


 こうして迎えにきてくれたこと。

 もしわたしの気持ちに気付いていたとしても、気付かないふりをしてくれていること。

 誰よりもそばで見守ってくれていること。

 わたしのそばにいてくれること。


 わたしに、出会ってくれたこと。


 まだ伝えきれていないたくさんのありがとうを込めて、わたしはそっと、大切な存在を抱きしめる力を強めた。