「可奈にも、そんな人がいるの……?」
視線を流すと可奈は唇を噛んで、星が輝く空を見上げた。
「───…いるよ」
可奈は夜空から瞳を流してわたしを見つめた。
それからふわっと、砕けるように笑う。
瞳の奥深くに憂いが混ざっているような瞳がわたしを映している。
「……栞ちゃんの気持ち、分かるよ。好きになっちゃいけないのに、どうしても好きなんだよね」
「えっ」
心を読まれたかと思った。
必死にとどめている気持ちを見破られてしまったかと思った。
頭に手をやって、そのまま下にすうっと指を滑らせる。
「……なんて、ね?」
あははっ、と悪戯っぽい笑みを浮かべた可奈。
「なんだ、驚いたじゃん」
同じように笑ってみせると、可奈はより笑みを深めてくるっと身体の方向を変えた。
「寒いし、そろそろ戻ろっか。嫌だって言っても問答無用で連れていくからね」
「……うん。そうする」



