海色の世界を、君のとなりで。


「そんなに悲しい顔をしているの……?」


そう言った可奈は、今にも泣き出しそうだった。

眉を下げて、唇を噛み締めて。

それでもまっすぐにわたしを見つめている。


「悲しくなんかないよ全然。見間違いだよ、こんなに元気だもん」


へへ、と笑ってみせる。

誤魔化せないのは分かっていた。

彼女はいつだって、わたしを見ていてくれるから。

きっと、この中途半端な気持ちだってとっくにバレているのだろう。


「それより、ひとつ疑問があるんだけど。星野と香山くんっていつからあんなに仲が良いの?」


強引に話題を変えた。

星野と出会ったのは高校生になってからで、それまでの彼の交友関係はまったく知らない。

白雪さんと涼風さんは偶然にも星野と小学校が同じということを聞いていたから、何か知っているのもしれないと思ったのだ。


「あー、あそこは前から仲良いよね」

「うん。たしか小三の冬……?くらいからだったかな」


中途半端な時期に違和感を覚えて首を傾げると、白雪さんは「星野って…」と涼風さんと顔を合わせた。