海色の世界を、君のとなりで。


星野と可奈。
文句の付けようがない美男美女カップルだ。


……その方がいい。
その結末の方が綺麗だ。

初めから、分かりきったことじゃないか。

どうせわたしは、人を好きになってはいけないのだから。

そういう人間として生まれてしまったのだから。

だったら、わたしにできることは決まっている。

わたしは可奈に向き直って、とびきりの笑顔を見せた。


「ないない!星野でしょ?あんな奴、あるわけないよ」


あはは、とそれはもう豪快に笑ってみせた。首を振って。

両手も振って。

違うよ、と全力で表すように。


「でもさ、星野って栞とめっちゃ仲良くない?」

「なんか特別って感じするよね」


白雪さんたちが顔を見合わせてそう呟く。

やめて、言わないで。

これ以上話さないで。


「……栞ちゃん」

「やめて」


可奈の声を思わず遮ってしまった。

その瞬間、可奈がハッと息を呑む。


「たぶん可奈もみんなも、勘違いしてるから。ほんとに、わたしと星野はなんでもないの」

「でも……だったらどうして」


可奈が顔を歪めて、わたしの頬に手を伸ばした。

ひやりと触れた可奈の手は、ひどく冷たかった。