海色の世界を、君のとなりで。

***


「あたし、ちゃんと見てたよー?可奈が香山に告られてるとこ」

「あ、ウチも見た見た!」


布団を敷き終わった頃。

旅館の一室、枕を抱えるようにして布団の上に座った白雪(しらゆき)さんが、にんまりしながら可奈を見た。

寝転がったままの涼風(すずかぜ)さんも、口許を緩めて可奈に視線を遣る。


「やっぱモテ女は違うね」

「どこ行ってもモテるんだもん。そりゃ人生大変だなー」


ケラケラと笑いながら身体を起こす涼風さん。


「せっかくの修学旅行だし?学年一のモテ女もいることだし?」

「やるしかないっしょ、恋バナ!!」


おーっ!と盛り上がってしまった二人。

ちらと可奈を見ると、その横顔に一瞬スッと影が落ちた────ような気がした。

けれど、二人はそんな可奈のようすに気付くことなく、話を弾ませていく。


「まず、結果から聞きたいよね。オッケーした?それとも振った?」

「……」

「なんでそんなにだんまりしてるの、可奈ちゃーん」

「教えてよ可奈。恋バナしようよ」


二人に圧されて、可奈は力なく首を横に振った。


「え、まじ?振った?」

「香山おつじゃん」


ケラケラと笑う二人。

わたしも告白の結果を気にしていた部分はあった。

だからこの手の話になったこと自体、少し二人に感謝するところはある。