「な、なにするの。可奈たちとはぐれちゃったじゃん」
「その方がいいんだよ」
「は……?」
何を言っているんだこの男は、と目線をきつくして睨むと、彼はやけに真剣な表情で息を吐き出した。
「……好きなんだって」
「え?」
「小鞠さんのこと。香山、好きなんだってさ」
突然の告白に目を瞬かせる。
首を傾げるわたしに、星野は大きくため息を吐いて少しかがみ、言い聞かせるように目線を合わせた。
「ここは清水寺、そして修学旅行ときた。ほら、清水の舞台から飛び降りる思いで、って言うじゃねえか」
「えっと……それはつまり……告白?」
「そういうことだよ」
ええ!?と自分でも予想以上の声量が出てしまい、慌てる。
周りにあまり人がいなくてよかったとホッと胸を撫で下ろした。
「香山くんが……可奈に?」
「それ以外誰がいんだよ。前々から頼まれてたから、俺は役目を果たしただけだ」
夏祭りの日。
あの誘い方はもしやとは思っていたけれど。
本当に、可奈のことが好きだったなんて。
あんなに可愛い可奈だから、好意を持たれるということに関してはそんなに驚きはしない。
それでも、リアルタイムで告る告られる状態になっているのなら、驚かずにはいられなかった。
どうりでそわそわしていると思ったら。
香山くん、ここで告白するつもりだったんだ。