海色の世界を、君のとなりで。

 声のトーンが上がり、可愛らしい声にさらに甘さが増す。

 ぞろぞろと歩いてきた男子たちは、タオルで汗を拭きながら、アリーナを出ていくところだった。

 その中に、星野もいる。

 星野は試合終わりだというのに涼しい顔のまま、ユニフォームで汗を拭っていた。


「うわっ、腹チラとかご褒美じゃん。ねえ、栞ちゃん」


 汗を拭ったせいで持ち上がったユニフォームとズボンの間から、割れた腹筋が僅かにのぞいた。
 それを見た可奈が振り向いてわたしに同意を求めてくる。


 男子の────しかも星野の腹を見て、いったい何がいいんだか。

 わたしには到底理解できない。

 と思いつつ、曖昧に笑って誤魔化しておく。

 空気を悪くするようなことを言って、可奈との友情を壊したくはない。