海色の世界を、君のとなりで。


「……こういうの、やっぱ、違うよ」



手を繋ぐ、という行為は普通、恋人とかそういう関係に近い人たちがすることだ。


わたしと星野はそういう関係ではないのは明白で、だからこそ違和感がありすぎる。



「……ここでいい。ありがとう、送ってくれて」



彼から明確に言葉にはされなかったけれど、ここまで手を引いてきてくれたということは、送ってくれたということなのだろう。



すぐそこに家は迫ってきていた。


これくらいなら、わたし一人でも帰れる。



星野が今どういう顔をしているのか確認するのがなんだか怖くて、俯いたままお礼を言って逃げるようにその場を去った。