星野が歩くたび、周りの可愛い女の子や綺麗なお姉さん方がきゃあっと小さな悲鳴をあげているのがうかがえた。
わたしの周りにいる人はモテる人ばかりなのか、とますます肩を落とす結果になってしまうので、もうこれ以上考えないようにしよう。
「その色……いいんじゃねえの」
「え?」
その色、がわたしが着ている浴衣の地の色のことだと気付いたのは、言われてから少し後のことだった。
淡く紫を帯びた青。
暗くて深いこの色は、深海をあらわすときに使われる紺青色。
一目見ただけで心惹かれるほど綺麗で、落ち着きがあって、わたしはものすごく気に入っている色だ。
「なんか大人っぽくて、お前に合ってる」
「……え、なんか今日変だよ。酔ってる?」
「まだ飲めねえよ馬鹿」



