可奈は何も悪くない。

わたしにとって、大切な親友なのに。

彼女のとなりに並ぶと、周りから比較されて嘲笑われているような気がして、ひどく落ち着かなくなってしまうのだ。


「もしよかったらだけど……」


自らのズボンの裾を掴んだ香山くんが、まっすぐに可奈を見つめている。

星野はそのとなりで黙って空を見上げて、これから続く言葉を悟っているような顔をしていた。

なんだか居心地が悪くて、わたしも同じように空を見上げる。

もう暗くなってしまった空には、小さく星が輝きだしていた。


今日の花火は、綺麗に見えるだろうか。


そんなことを思いながら、耳だけは意識を香山くんの言葉に集中させる。


「花火、一緒に見ない?」


おお、と心の中で声が洩れる。

香山くんの真意は正確には分からないけれど、可奈を誘うという行為自体、とてもハードルが高いことなので驚きが隠せない。

勇気ある行動に、内心で大きな拍手を送った。