「りんご飴ある!あっ、こっちには綿飴があるよ!」


大会が終わり、やって来た念願の夏祭り。

わたしの浴衣の袖をちょんと引っ張りながら飛び跳ねる可奈は、黄色の地に真っ白な百合が咲いている浴衣を着ている。

髪には浴衣に合った、可愛らしい花の髪飾りをつけていて、彼女が跳ねるたび、控えめに揺れている。


穢れない彼女の象徴である純白は、夜の暗さにも溶けずに、その存在を美しく主張していた。


「そんなに急がなくても、りんご飴も綿飴も逃げないから」


苦笑しつつ、手を引かれるまま彼女についていく。

するすると人混みをすり抜けていく彼女が目指すのは、かき氷屋台のようだった。


「え、かき氷?」

「うん!」

「りんご飴と綿飴は……?」

「それも食べるよっ」


にっこりと笑った可奈は、列の最後尾に並んだ。

ワクワクを隠しきれていない顔で「何味にしよう」と悩んでいる。


彼女はわたしが思っていたより、意外と食いしん坊なのかもしれない。

そんなことを思いながら、彼女の後ろに並ぶ。