海色の世界を、君のとなりで。

 キャプテンはレイアップのために上げていた右手を突然下げ、後ろにボールを飛ばした。


(……え)


 会場の空気がざわりと揺れるのと同時に、"彼"がそのボールを受け取る。

 彼は────スリーポイントラインの外側にいた。

 中からの攻撃を阻止すべくディフェンスが集まった隙をついての策だった。


 ……まさか。


 ふと頭をよぎった策を確かめている時間なんてない、瞬きほどの一瞬に、彼は迷いなくシュート体勢をつくる。

 お手本のような、伸びやかで美しいシュート体勢だった。


 タイマーが0に変わる直前に、彼はシュートを放つ。


 彼の手から離れたボールは美しい弧を描き、まっすぐゴールに吸い込まれていった。


 そして、ブザーが鳴る。