海色の世界を、君のとなりで。


わたしがもっと真面目に練習していれば。

全ての練習、試合に全力で取り組んでいたら。

怪我さえしなければ。

押し負けることがなければ。


どうしようもない後悔があとからあとから襲ってくる。

何かひとつでも違えば、結末はきっと変わっていたはずだ。

今から過去に戻って、もっとしっかり練習しろと自分を叱りたい。

そんなできっこない考えさえ浮かんでしまうほど、悔しい。


「────栞」


突然頭に手がのったかと思うと、わしゃわしゃと撫でられた。


「……っ、真波、せんぱいっ」

「なーに泣いてんの。みっともない顔しちゃって」

「決められなくて、本当にごめんなさい……っ。先輩たちの、最後の夏だったのに」


言葉にして輪郭を持たせると、試合に負けたという事実が重くのしかかってきて、胸がぎゅっと締めつけられる。


「あんたには来年があるでしょう。次頑張ればいいのよ」

「でもっ……先輩は」

「泣くほど慕われてたかなあ、あたし」


苦笑した真波先輩は、わたしの額にデコピンをくらわせた。