退院してから数日後、姉からみんなでランチビュッフェに行った姉のバイト先のホテルに集合するように連絡があり、部屋で出かける支度をしていた。
きっと、今日で全てが解決する…。
そう思うと緊張して手のひらがしっとりと汗ばんできた。
磐田くんも彼女から解放されて自由になれるといいな。
『ガチャっ』
「なぁ。マジで俺たち付き合わね?」
突然、部屋のドアが開くと葵くんが入ってきて第一声がこの言葉だった。
ちゃんと返事をしなくちゃと思ってたのに、事故にあってタイミングをすっかり失っていたので今日がそのチャンスなのかもしれない。
「そのことなんだけど…。」
「前に返事は直ぐじゃなくていいって言ったけど、このまま黙って待っていたら耕史に取られる気がして嫌だ。松田愛理みたいな女が耕史の周りにまた現れたらまた狙われるぞ。奈々に彼氏がいた方が絶対に安全だよ。」
葵くんは一体何を勘違いしているのだろう…。
「磐田くんに取られるだなんて…。磐田くんは私みたいな凡人相手にしないって。」
「でも、奈々はあいつのこと好きなんだろ?」
「なっ、なんで…?」
絶対にばれていないと思っていたのに…。
「俺、子どもの時からお前のこと見てるんだぞ。好きな女が誰を見てるかだなんて嫌でも直ぐに気づくって…。」
少し瞳を潤ませ切なそうに見つめられた。
「あはは…。そっか、葵くんにはバレていたか…。」
「やっぱ、あいつの事が好きなんだ。」
「…うん。初めは親切な人って感じだったんだけど、通学中の電車でいろんなこと話している間に次第に好きになっちゃったみたい。でもさっ、私なんかきっと相手にされないって分かってるの…。彼の周りには頭もよくて、美人な女の子が沢山いるって聞くし…。なんて言ったって、うちの学校にもファンクラブがあるくらいなんだし。」
わかっている。きっと磐田くんに私は不釣り合いだってこと…。
「じゃあ、俺の彼女になってよ。」
「…ごめん、いくらこの恋が叶わないものだとしても、この気持ちを抱えたまま葵くんと付き合うなんてできないよ…。」
「俺は付き合っていくうちに恋愛感情が芽生えればそれでいい。」
葵くんはゆっくりと私の手をとり、自分の頬にあてるとそのまま手の甲にキスをした。
「私にとって葵くんは子どもの頃からの友達で…、幼馴染で…、きっと家族みないな『好き』なの。」
「そこから発展することはない?」
「…うん。多分そうならない。」
「そっか…。」
ごめんね。葵くん…。
好きになってくれてありがとう。
雰囲気から言葉にできず心の中で囁いた。
「お前の王子さまになれないなら、せめて騎士でいさせてよ。困ったことがあればいつでも駆けつけるから。」
葵くんは私を抱きしめながらそう言った。
「うん。頼りにしてるわ騎士さん。葵くんの事は大好きよ。」
「その『好き』が俺の『好き』と同じだったら良かったのに…。」
ゆっくり体を離すと優しい笑顔を見せてくれた。でも、その笑顔はどこかぎごちなくて…、きっと、涙をこらえた最高の作り笑顔だったのかもしれない。
『ブブブッ』
スマホが震えたので画面を確認すると、姉から到着を急かすメッセージだった。
きっと、今日で全てが解決する…。
そう思うと緊張して手のひらがしっとりと汗ばんできた。
磐田くんも彼女から解放されて自由になれるといいな。
『ガチャっ』
「なぁ。マジで俺たち付き合わね?」
突然、部屋のドアが開くと葵くんが入ってきて第一声がこの言葉だった。
ちゃんと返事をしなくちゃと思ってたのに、事故にあってタイミングをすっかり失っていたので今日がそのチャンスなのかもしれない。
「そのことなんだけど…。」
「前に返事は直ぐじゃなくていいって言ったけど、このまま黙って待っていたら耕史に取られる気がして嫌だ。松田愛理みたいな女が耕史の周りにまた現れたらまた狙われるぞ。奈々に彼氏がいた方が絶対に安全だよ。」
葵くんは一体何を勘違いしているのだろう…。
「磐田くんに取られるだなんて…。磐田くんは私みたいな凡人相手にしないって。」
「でも、奈々はあいつのこと好きなんだろ?」
「なっ、なんで…?」
絶対にばれていないと思っていたのに…。
「俺、子どもの時からお前のこと見てるんだぞ。好きな女が誰を見てるかだなんて嫌でも直ぐに気づくって…。」
少し瞳を潤ませ切なそうに見つめられた。
「あはは…。そっか、葵くんにはバレていたか…。」
「やっぱ、あいつの事が好きなんだ。」
「…うん。初めは親切な人って感じだったんだけど、通学中の電車でいろんなこと話している間に次第に好きになっちゃったみたい。でもさっ、私なんかきっと相手にされないって分かってるの…。彼の周りには頭もよくて、美人な女の子が沢山いるって聞くし…。なんて言ったって、うちの学校にもファンクラブがあるくらいなんだし。」
わかっている。きっと磐田くんに私は不釣り合いだってこと…。
「じゃあ、俺の彼女になってよ。」
「…ごめん、いくらこの恋が叶わないものだとしても、この気持ちを抱えたまま葵くんと付き合うなんてできないよ…。」
「俺は付き合っていくうちに恋愛感情が芽生えればそれでいい。」
葵くんはゆっくりと私の手をとり、自分の頬にあてるとそのまま手の甲にキスをした。
「私にとって葵くんは子どもの頃からの友達で…、幼馴染で…、きっと家族みないな『好き』なの。」
「そこから発展することはない?」
「…うん。多分そうならない。」
「そっか…。」
ごめんね。葵くん…。
好きになってくれてありがとう。
雰囲気から言葉にできず心の中で囁いた。
「お前の王子さまになれないなら、せめて騎士でいさせてよ。困ったことがあればいつでも駆けつけるから。」
葵くんは私を抱きしめながらそう言った。
「うん。頼りにしてるわ騎士さん。葵くんの事は大好きよ。」
「その『好き』が俺の『好き』と同じだったら良かったのに…。」
ゆっくり体を離すと優しい笑顔を見せてくれた。でも、その笑顔はどこかぎごちなくて…、きっと、涙をこらえた最高の作り笑顔だったのかもしれない。
『ブブブッ』
スマホが震えたので画面を確認すると、姉から到着を急かすメッセージだった。