** side:耕史 **
弥椰さんのグループトークを見た瞬間、全身が凍り付いた。俺が彼女を意識してしまったせいでこんなにも大事になってしまうなんて…。メッセージを読んだあと直ぐに後ろを振り向くと葵もまた弥椰さんからのメッセージを見たようで青ざめた顔をしていた。
「こんなことは高校生になってから一度もなかったんだ…。すまない。」
「謝る相手は俺じゃなくて奈々だろ?」
「そうだけど…。俺が彼女を好きになってしまったから葵にも迷惑かけてるし…。」
「人が誰かに恋するのは自然な事だろ?そこに割り込んでくるあの女が悪いんだよ。この後どうするんだ?部活で顔を合わせるんだろ?」
「あぁ、その時に探りを入れてみようと思う。100%彼女の仕業だとは思うけれど何せ証拠が…。」
「そうだな…。怖い大人がついているようだし、慎重にいかないとな。」
放課後、俺の事を心配してくれた葵は部活についてきてくれた。
「せんぱーい!今日も部活頑張りましょうね♪」
松田の甘ったるい声が聞こえてきて吐き気が込み上げる。
「ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」
「もしかして告白ですか?やっと愛理の彼氏になってくれるんですね!」
勘違いも甚だしい。俺にあんなに色々な脅しをしておいてよくも言えたものだ。
「二人だと誤解を招きかねないから、横田と三人で話したい。」
そう言うと、人のいない空き教室へと向かった。松田は黙って俺らの後をついてきた。
「話ってなんですかー。愛理、愛の告白しか聞きたくないんですけどぉー。」
空き教室に着くとすぐにめんどくさそうに言った。
「こないだホテルで松田が水を浴びせた女ん子なんだけど。」
「愛理を裏切って耕史先輩が甘~い視線を向けている彼女の事ですか?名前は佐藤奈々でしたっけ?」
「甘い視線何て向けてないよ。名前調べたんだね。」
「私が悩んでると色々教えてくれるスタッフがパパの会社にいるだけですよ。その子がどうしました?何か問題でも起こりましたぁ~?」
松田はニヤリと含みのある笑みを見せ、葵はそれに対して何か言いたそうに身を乗り出してきたがそれを黙って止めた。
「なんだか不適切な画像が学校に送り付けられたらしいんだ。まさか犯人は松田ではないよな?」
直球に聞いてみる。
「愛理はそんな事しませんよ?あ・い・り、はね!」
「コイツっ!!!!」
飛び掛かろうとする葵を抑えた。
「じゃあ、もし、松田の知り合いが佐藤さんに何かしていたり、しようと考えているなら彼女は俺と無関係だから止めるように言ってくれ。」
「先輩が私を裏切ってなければいいですよ。」
「だから、彼女は葵の幼馴染で俺とは無関係…。」
「馬鹿にしないでっ!愛理はいつも耕史先輩の事を思ってるの。一途に将来の夢がかなうまで待っているのに先輩が裏切ろうとするからでしょ!彼女の事好きなの気づいてるわよっ!!!」
俺が話している途中で松田はヒステリックに叫びだした。
「松田さん、耕史はそんな関係じゃないって言ってるだろ?君の勘違いだ。佐藤奈々は俺の幼馴染であの日初めて耕史とは会ったんだ。」
「そんな嘘は通じないわ。そうだ。こんな手は使いたくなかったけれど…。」
松田はスマホを取り出して一枚の画像を俺らに見せてきた。
「2年前の私と耕史先輩の思い出の写真よ。」
そこには塾の裏人気のないところで半裸の中学生とそれを取り囲む大人の男、その中心には俺が立っていた。アングル的には俺が彼女に悪さをしているようん見える。
「なんでこんな画像を…。」
本来なら俺がいる位置に松田がいたはずだった。
「耕史の話を聞いていなかったらお前が主犯っぽい画像だな…。」
葵が口元を抑えてまじまじと見た。
「先週、耕史先輩のお父様とも仲良くなったの知ってるでしょ?この写真みたら喜ぶかしら??」
「松田…。お前、ここまでして俺と付き合って幸せか?」
「えぇ。幸せよ!」
「…完全に脅迫じゃねーか。」
呆れ顔で葵は言った。
「俺が付き合うって言ったら、完全に佐藤さんからは手を引いてくれるのか?」
「えぇ。もちろん。」
「…耕史、お前。それでいいのか??」
「これ以上、みんなに迷惑を掛けたくない…。」
「俺は反対だ。脅しで無理やり突き合わせるような女とお前を一緒にさせたくない。」
「でも、それで佐藤さんへの嫌がらせが無くなるなら…。」
「何も難しいことないですよ。こんなに可愛い愛理と付き合るんだもん。『受験や将来の夢』が理由で愛理と付き合わないなんておかしすぎるもの。受験も将来の夢も愛理がかなえてあげる♪耕史先輩!大好きです!」
完全にこいつの頭は狂ってる…。が、仕方なくOKの返事をする。
「…わかった。付き合うよ。」
何度も葵は付き合うのを止めたが奈々ちゃんや親父に迷惑が掛かることを考えるとこの選択は間違っていないと思えた。
その日の夜。グループトークに松田と付き合うことになったからこれ以上奈々ちゃんに被害は起こさせないと伝えた。トーク内でみんなにそれは間違っていると反対されたが、やむを得ない。
きっとこれが正解なんだ。
そもそも俺が側で松田を見張っていれば奈々ちゃんを危険にさらすことは無いはず。
自分にそう言い聞かせて、彼女への想いに蓋をした。
弥椰さんのグループトークを見た瞬間、全身が凍り付いた。俺が彼女を意識してしまったせいでこんなにも大事になってしまうなんて…。メッセージを読んだあと直ぐに後ろを振り向くと葵もまた弥椰さんからのメッセージを見たようで青ざめた顔をしていた。
「こんなことは高校生になってから一度もなかったんだ…。すまない。」
「謝る相手は俺じゃなくて奈々だろ?」
「そうだけど…。俺が彼女を好きになってしまったから葵にも迷惑かけてるし…。」
「人が誰かに恋するのは自然な事だろ?そこに割り込んでくるあの女が悪いんだよ。この後どうするんだ?部活で顔を合わせるんだろ?」
「あぁ、その時に探りを入れてみようと思う。100%彼女の仕業だとは思うけれど何せ証拠が…。」
「そうだな…。怖い大人がついているようだし、慎重にいかないとな。」
放課後、俺の事を心配してくれた葵は部活についてきてくれた。
「せんぱーい!今日も部活頑張りましょうね♪」
松田の甘ったるい声が聞こえてきて吐き気が込み上げる。
「ちょっと話したいことがあるんだけどいいかな?」
「もしかして告白ですか?やっと愛理の彼氏になってくれるんですね!」
勘違いも甚だしい。俺にあんなに色々な脅しをしておいてよくも言えたものだ。
「二人だと誤解を招きかねないから、横田と三人で話したい。」
そう言うと、人のいない空き教室へと向かった。松田は黙って俺らの後をついてきた。
「話ってなんですかー。愛理、愛の告白しか聞きたくないんですけどぉー。」
空き教室に着くとすぐにめんどくさそうに言った。
「こないだホテルで松田が水を浴びせた女ん子なんだけど。」
「愛理を裏切って耕史先輩が甘~い視線を向けている彼女の事ですか?名前は佐藤奈々でしたっけ?」
「甘い視線何て向けてないよ。名前調べたんだね。」
「私が悩んでると色々教えてくれるスタッフがパパの会社にいるだけですよ。その子がどうしました?何か問題でも起こりましたぁ~?」
松田はニヤリと含みのある笑みを見せ、葵はそれに対して何か言いたそうに身を乗り出してきたがそれを黙って止めた。
「なんだか不適切な画像が学校に送り付けられたらしいんだ。まさか犯人は松田ではないよな?」
直球に聞いてみる。
「愛理はそんな事しませんよ?あ・い・り、はね!」
「コイツっ!!!!」
飛び掛かろうとする葵を抑えた。
「じゃあ、もし、松田の知り合いが佐藤さんに何かしていたり、しようと考えているなら彼女は俺と無関係だから止めるように言ってくれ。」
「先輩が私を裏切ってなければいいですよ。」
「だから、彼女は葵の幼馴染で俺とは無関係…。」
「馬鹿にしないでっ!愛理はいつも耕史先輩の事を思ってるの。一途に将来の夢がかなうまで待っているのに先輩が裏切ろうとするからでしょ!彼女の事好きなの気づいてるわよっ!!!」
俺が話している途中で松田はヒステリックに叫びだした。
「松田さん、耕史はそんな関係じゃないって言ってるだろ?君の勘違いだ。佐藤奈々は俺の幼馴染であの日初めて耕史とは会ったんだ。」
「そんな嘘は通じないわ。そうだ。こんな手は使いたくなかったけれど…。」
松田はスマホを取り出して一枚の画像を俺らに見せてきた。
「2年前の私と耕史先輩の思い出の写真よ。」
そこには塾の裏人気のないところで半裸の中学生とそれを取り囲む大人の男、その中心には俺が立っていた。アングル的には俺が彼女に悪さをしているようん見える。
「なんでこんな画像を…。」
本来なら俺がいる位置に松田がいたはずだった。
「耕史の話を聞いていなかったらお前が主犯っぽい画像だな…。」
葵が口元を抑えてまじまじと見た。
「先週、耕史先輩のお父様とも仲良くなったの知ってるでしょ?この写真みたら喜ぶかしら??」
「松田…。お前、ここまでして俺と付き合って幸せか?」
「えぇ。幸せよ!」
「…完全に脅迫じゃねーか。」
呆れ顔で葵は言った。
「俺が付き合うって言ったら、完全に佐藤さんからは手を引いてくれるのか?」
「えぇ。もちろん。」
「…耕史、お前。それでいいのか??」
「これ以上、みんなに迷惑を掛けたくない…。」
「俺は反対だ。脅しで無理やり突き合わせるような女とお前を一緒にさせたくない。」
「でも、それで佐藤さんへの嫌がらせが無くなるなら…。」
「何も難しいことないですよ。こんなに可愛い愛理と付き合るんだもん。『受験や将来の夢』が理由で愛理と付き合わないなんておかしすぎるもの。受験も将来の夢も愛理がかなえてあげる♪耕史先輩!大好きです!」
完全にこいつの頭は狂ってる…。が、仕方なくOKの返事をする。
「…わかった。付き合うよ。」
何度も葵は付き合うのを止めたが奈々ちゃんや親父に迷惑が掛かることを考えるとこの選択は間違っていないと思えた。
その日の夜。グループトークに松田と付き合うことになったからこれ以上奈々ちゃんに被害は起こさせないと伝えた。トーク内でみんなにそれは間違っていると反対されたが、やむを得ない。
きっとこれが正解なんだ。
そもそも俺が側で松田を見張っていれば奈々ちゃんを危険にさらすことは無いはず。
自分にそう言い聞かせて、彼女への想いに蓋をした。



