鏡を見ると、幸薄い自分の顔。
そんな自分の顔を見ると、すぐに鏡から顔を逸らした。


「お母さん。学校行ってくるね」


母にそう声を掛け、学校へ向かう。


いつもと変わらない冷たい空気。

いつもと変わらない空。

いつもと変わらない自分。


少しは変わりたいと思っている。
けれど何をすればいいのか、変わったところで何があるかが分からない。


「…いつもと…違うこと、」


「…よし、こっちの道から行こ」


学校への道で何ヶ所か分かれ道があり、どちらからでも学校へは行ける。


いつもとは違う景色。

だから何なのだろうか。

この道から行くことは、何か利益があるのか…、

無駄な考えになってしまう自分が大嫌いだ。


「あれ?佐藤じゃん」


どこかで聞いたことがある声だ。そう思い振り返ると


「…柏くん」


通りで聞いたことあるのだ。
彼は、同じクラスのいわゆる一軍の柏 朝飛( かしわ あさひ )くん。
いつも笑顔で、とても楽しそうに生きている子。

そして、私の好きな人。


「佐藤、この道通るんだ。初めて知ったわ」


「ううん。違うの。今日はただこっちの道から来ただけだよ」


「あ、そうなんだ。だから初めて見たのか」


柏くんと話すと、自分のコミュ力の無さに苛立つ。


「そういえば、佐藤と話すの久しぶりじゃね?最近全然話してなかったもんな」


「あぁ、そういえばそうかも。柏くん、人気者だもんね」


「ふは、そうか?そんなに友達多くないけどな」


くすくす笑いながら柏くんが言う。
可愛いと思いつつも、自分も微笑み。


「そんなことないよ。いつも沢山の子に囲まれてるし、すごい好かれてるよ?」


「なら嬉しいけどな〜」


そんな他愛ない話をしていると、学校に着く。