車のなかでは、無言の状態。
だけど、嫌じゃなかった。
どうしてかわからないけど。
すると矢吹さんが、
「迷惑とかじゃないから。安心して。」
前を見ながら言った。
どうしてわかったんだろう。
本当は協力するって言っても、迷惑だったんじゃないか…なんて思っていた。
「ありがとうございます。…本当にいいんですか?お仕事…お忙しいのに。」
私が申し訳なく言うと、
「…確かに忙しいけど、困ってる子を放っておくわけにいかないし。前はしょっちゅうタケとかのトラブルに巻き込まれてたから。
だから、気にしなくていい。
安心して。ちゃんと助けてあげるから」
「はい…。」
矢吹さんが初めて笑った。
笑うとすごく優しい表情になるんだ。
私は矢吹さんの笑顔をみて、なんだか胸がキュンとなった。
家に着くと、矢吹さんは、
「なにかあったらすぐ連絡して。なるべくその男と2人になるのは避ける事。
わかった?」
「はい。分かりました。」
私はできるだけ笑顔で答える。
すると矢吹さんは、
「…よし。いい子だ。」
そう言って、私の頭を優しくポンッとすると、帰っていった。
あっ…まただ。
また胸がキュンとした。
何なんだろう?このキュンって…
私はまだ気づいていなかった、
この気持ちの正体を……
~*真子sideおわり*~


