俺は、動けずにいた。
こんな事を女から言われたことがなかった。
俺に寄ってくる女はすべて、
欲望にまみれていた…
真子の言葉は、限りなく透明なものだ…
「…真子?…どうした?急に…」
真子が後ろから抱きついているまま、
俺は聞いた。
「…凉さんの抱きしめてくれるのが好きです。…凉さんの優しいキスが好きです。
…もっと凉さんに触れて欲しいと思う私は…嫌ですか?」
真子の頬に涙が伝う…
あの恥ずかしがり屋の真子が、精いっぱいの勇気を振り絞り、伝えたであろう…この言葉。
俺は、そっと真子と向き合う。
涙で濡れた頬を、優しくなでる。
「泣くな…。真子が泣くと、
理性がきかなくなる。」
「グスッ…えっ…?」
そうだ…、真子の泣く姿は…どこか色っぽく、またどこか幼く、愛おしく感じる。
「いいのか…?」
「はい。…嫌…ですか?」
嫌なはずがない。俺が唯一、心から愛したいと思った人だ…
だけど、女にとって…その…初めてというのはすごく大事な瞬間だと、孝幸が言っていた。
「嬉しいよ…。真子。」
少し照れた様子の真子に、俺は出来るだけ優しく口づけをした。
そしてスッと、真子を抱き上げて寝室へ向かった。
もう何も考えないことにする…
俺と真子の気持ちが繋がった今、
体で、真子と繋がる時だ…
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