ちなが飛び出してから、店には私とテルさんだけ。
タロウさんは向こうでお客さんと話してる。
「ちな達、ちゃんと話してるかな…」
「大丈夫だよ、きっと。」
でもテルさんってすごいなぁ…。
テルさんがくれるアドバイスは、女の気持ちも男の気持ちも、的確に判断して、解決に導いてくれる。
学校でも、生徒達から恋愛相談されてた しなぁ…
すごく優しいし、授業も苦手な人が多い倫理だけど、すごく分かりやすい教え方でみんな結構好きになってきてる。
それに、私に会うたびに笑いかけてくれるし、話しかけてもくれる。
孝幸と仲良くやってる?とか、なんかあったらいいなよ?とか。
―――ツンツン*
「ふぇ!?」
びっくりした…テルさんが私のほっぺをつついた。
「どしたぁ?ぼーっとして。瞳ちゃんもお悩み中~?」
テルさんの声は、すごく甘い声…なんて言うか嫌みじゃない感じで。
私はテルさんの声を聞くとホッとする…
変な意味じゃなくて…好きな声。
ほわーんとした雰囲気も好き。
こんな事言ったら孝幸が怒っちゃうね!
でも何故か、テルさんといると…孝幸とは違う、安心感がある。
恋愛感情とかは全くないんだけどね。
「悩みなんかないですよ~。なんか、テルさんって優しいなぁ~と思って。お兄ちゃんみたい。まっ、私一人っ子なんで兄妹とかわかんないですけどね?」
私がそう言うと、一瞬テルさんは何ともいえない、悲しいような、困ったような顔をしたけど、すぐいつもの笑顔。
…?
嫌だったかな?お兄ちゃんとかなんとか言ったから…
「へへぇ~♪嬉しいなぁ~。こんな可愛い妹がいたら♪てか、あんまり優しいと孝幸が怒っちゃうかな?はははっ♪」
気のせいかな?
「おっと、もう帰んないと、仕事だ。」
そう言って席をたった。
私も帰んないと…いくら一人だからって遅く帰ったらダメだよね。
「私も帰ろっと。タロウさん、ごちそうさまでした♪おやすみなさ~い」
私とテルさんはお店をでた。


