「ふーくーーーーん!!!」


学校から帰宅し、急いでコスチュームに着替えた私は、ふーくんの部屋の扉を勢いよく開ける。


「……まお、うるさ──…」

「ハッピーハロウィーーーン!!」


ベッドに寝そべって、スマホを触っていたふーくんが、私の方へと視線を向ける。

すると、私の格好を見た途端、瞠目しながらピシッと固まった。


「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃ、ふーくんの両手首に私の愛が込められた手錠をかけちゃうぞ☆」


おもちゃの手錠を見せびらかせて、バチコーンッ☆と、ウインクをプレゼントする。


「……」


じー…っと、頭からつま先まで私の姿を観察するふーくん。


ふっふっふっ、決まった。

朝から考えていた決め台詞をふーくんに言えて、満足だ。

ふーくんの好みかどうかわからないけれど、今の私、普通にかわいいのでは?