「結月君!お待たせ」
私は、駆け足で空き教室まで戻った。
すると。
「あ、お帰りなさい…」
テーブルの上を見て、私はあっ、と思った。
アンケート用紙が並んでいたテーブルは、すっかり片付けられ。
大きな表の紙一枚だけが残っていた。
ま、まさか。
「も、もう終わっちゃった…?」
「はい。今しがた終わったので…後片付けをしていたところです」
…あぁ…終わっちゃってた…。
私がグズグズしてる間に…。
私は、ガックリと肩を落とした。
何やってるのよ。
結局、結月君一人に任せたようなものじゃない。
手伝うどころか、結局私だけ逃げることになって。
申し訳無さでいっぱいだ。
「ごめん…。出来るだけ早く戻るつもりだったんだけど…」
「あ、そんなこと気にしてたんですか?」
気にするよ。当たり前じゃない。
「大丈夫ですよ。なんか勢いでささっと済ませちゃいました」
そうね。
私がいなくても、結月君はささっと終わらせちゃえるんだろうけど。
少しでもそれを手伝えなかった私は、いてもいなくても変わらない無能ってこと。
はぁ…。
「気にしないでください。外…楽しかったです?ライブ観に行ったんですよね」
「うん…」
「良かったですね。見逃さずに済んで。やっぱり年に一回のことですから、見逃したら損ですよ」
その、年に一回のことを。
君は毎年、こんな風に過ごしてるんでしょ?
それを知ったからには、結月君を放り出して文化祭を楽しめる訳がない。
あぁ、やっぱり、無理にでも早く帰ってくるべきだった…。
今更後悔しても、後の祭り。
せめて少しでもフォローに回るしかない。
「…結月君、これ」
「はい?」
「カステラ買ってきたの。鈴カステラ。一緒に食べよ」
こんなものを買う為に、さっき少しだけ寄り道してたんだ。
今思えば、そんな寄り道をせず、急いで戻ってきていれば。
せめて後片付けだけでも手伝えたかもしれないのに。
でも、今更そんなこと言ったって仕方ない。
それに、こうせずにはいられなかった。
今日一日、いや…準備期間も含めて。
私なんかより、ずっと真面目に働いてくれた結月君に。
少しでも労いが必要だと思ったから。
「ほら、頭使ってるでしょ?糖分は必要だよ」
「え、いや、でも…。僕お金持ってないですから」
何それ。
私がお金請求すると思ったの?それはちょっと失礼でしょ。
「奢りに決まってるじゃない。さ、食べよ」
「でも、それは星ちゃんさんが買ってきたものなんですから、僕は遠慮、」
「しなくて良いの。私、今回ずっと結月君に助けられっぱなしだったんだから。せめてこんな形でも…何かお礼させて」
鈴カステラくらいじゃ、とてもお礼にならないけどね。
でも、何もないよりマシ。
「そんな、お礼なんて必要ないですよ。僕は自分の役目を果たしただけですから。僕に気を遣わ、むぐっ」
「はいはい、お疲れ様でしたー」
私は、あれこれ言って固辞しようとする結月君の口に鈴カステラを押し込んだ。
こうなったら、強行突破だ。
嫌だって言っても食べてもらうからね。
私は、駆け足で空き教室まで戻った。
すると。
「あ、お帰りなさい…」
テーブルの上を見て、私はあっ、と思った。
アンケート用紙が並んでいたテーブルは、すっかり片付けられ。
大きな表の紙一枚だけが残っていた。
ま、まさか。
「も、もう終わっちゃった…?」
「はい。今しがた終わったので…後片付けをしていたところです」
…あぁ…終わっちゃってた…。
私がグズグズしてる間に…。
私は、ガックリと肩を落とした。
何やってるのよ。
結局、結月君一人に任せたようなものじゃない。
手伝うどころか、結局私だけ逃げることになって。
申し訳無さでいっぱいだ。
「ごめん…。出来るだけ早く戻るつもりだったんだけど…」
「あ、そんなこと気にしてたんですか?」
気にするよ。当たり前じゃない。
「大丈夫ですよ。なんか勢いでささっと済ませちゃいました」
そうね。
私がいなくても、結月君はささっと終わらせちゃえるんだろうけど。
少しでもそれを手伝えなかった私は、いてもいなくても変わらない無能ってこと。
はぁ…。
「気にしないでください。外…楽しかったです?ライブ観に行ったんですよね」
「うん…」
「良かったですね。見逃さずに済んで。やっぱり年に一回のことですから、見逃したら損ですよ」
その、年に一回のことを。
君は毎年、こんな風に過ごしてるんでしょ?
それを知ったからには、結月君を放り出して文化祭を楽しめる訳がない。
あぁ、やっぱり、無理にでも早く帰ってくるべきだった…。
今更後悔しても、後の祭り。
せめて少しでもフォローに回るしかない。
「…結月君、これ」
「はい?」
「カステラ買ってきたの。鈴カステラ。一緒に食べよ」
こんなものを買う為に、さっき少しだけ寄り道してたんだ。
今思えば、そんな寄り道をせず、急いで戻ってきていれば。
せめて後片付けだけでも手伝えたかもしれないのに。
でも、今更そんなこと言ったって仕方ない。
それに、こうせずにはいられなかった。
今日一日、いや…準備期間も含めて。
私なんかより、ずっと真面目に働いてくれた結月君に。
少しでも労いが必要だと思ったから。
「ほら、頭使ってるでしょ?糖分は必要だよ」
「え、いや、でも…。僕お金持ってないですから」
何それ。
私がお金請求すると思ったの?それはちょっと失礼でしょ。
「奢りに決まってるじゃない。さ、食べよ」
「でも、それは星ちゃんさんが買ってきたものなんですから、僕は遠慮、」
「しなくて良いの。私、今回ずっと結月君に助けられっぱなしだったんだから。せめてこんな形でも…何かお礼させて」
鈴カステラくらいじゃ、とてもお礼にならないけどね。
でも、何もないよりマシ。
「そんな、お礼なんて必要ないですよ。僕は自分の役目を果たしただけですから。僕に気を遣わ、むぐっ」
「はいはい、お疲れ様でしたー」
私は、あれこれ言って固辞しようとする結月君の口に鈴カステラを押し込んだ。
こうなったら、強行突破だ。
嫌だって言っても食べてもらうからね。


