星と月と恋の話

おまけに。

差し入れを食べながら、会話に困って、無駄に長く沈黙が続いて。

ヤバい、もうこの沈黙に耐えられない…と、思っていると。

「…お友達、たくさんいて良いですね」

という、結月君の不意の一撃が飛んできた。

うぐっ。

そ、それって嫌味?

「そんなに差し入れ持ってきてもらえて…」

「う…うん…。…その、ごめん…」

「あ、いえ。嫌味のつもりじゃないんですよ」

いや、嫌味にしか聞こえなかったんだよ。

「改めて、星ちゃんさんがクラスの人気者なんだな、って実感しました」

「に、人気者なんて…」

「本当に残念でしたね。踊る方のグループになってたら、今日は楽しかったでしょうに」

…。

…台詞だけ聞けば、嫌味以外の何物でもないのだけど。

結月君の顔が本当に残念そうで、本当に惜しく思ってるのが分かって。

嫌味ではなく、本心なんだと分かる。

…君は純粋過ぎるよ。

「…結月君も、外行って…調査抜けておいでよ」

私は、再度そう言った。

同じアンケート係なのに、私だけ文化祭を楽しんでるなんて…そんなのフェアじゃない。

しかし。

「いえ、結構です」

「屋台とか、嫌いなの?」

ここまで拒むということは、そもそも屋台巡りに興味がないのかと思ったのだ。

そんなジャンクフードは食わん!っていう主義とか?

結月君自身が、とっても料理上手だもんね。

ジャンクフードなんて食べられない、と思うのも無理もな、

「あぁいえ、そうじゃなく。僕、お金持ってきてないので」

え。

「…忘れたの?なら、そう言ってくれれば良いのに。貸してあげるよ」

財布を忘れるなんて、結月君も結構抜けてるところがあっ、

「学校に財布は持ってこないんです。お金を持ってきて、トラブルになったら嫌ですから」

なんてことだ。

結月君は、財布を持ってくるのを忘れた訳じゃない。

元々、普段から財布を持ってくる主義じゃなかったのだ。

そんな人、いる?

お金も持たずに、よく普通に生活出来るね。

でも、学食で食べるときとか、自販機で飲み物欲しいときとかどうするんだろう…?

「不便じゃないの…?購買で何か買うときとか…」

「…?いえ、別に…。不意な買い物が必要なときなんて滅多にありませんし…。必要なときには、必要なだけ持ってきてますけど」

今日は必要なときじゃないの?文化祭だよ?

「でも、自販機で飲み物欲しいときとか」

「水筒にお茶入れて持ってきてるんで、学校で飲み物を買う必要はないんです」

エコだな君は。

何処にでも水筒持っていくんだ?

真夏でも飲み物を持たずに外出して、出先でいちいちドリンクを買っている私が、とてつもなく怠惰な浪費家に思えてきた。

それが普通だと思ってた。

真菜や海咲達だってそうだし。

二人が水筒を持って遊びに来てるのなんて、見たことがない。

私達が大雑把過ぎるのか、結月君がマメなのか…。

…多分後者だ。