星と月と恋の話

…こうして。

意外なことに、私達は元鞘に収まった…と言うか。

別れずに済んだ。

振り返ってみると、何だか拍子抜けだった。

てっきり別れ話をされると思ってたのに、全然されなかった。

十日間、ずっと悩んでいた私は何だったのか。

「…本当に良いの?」

と、私は結月君に尋ねた。

「何がですか?」

「いや、あの…。思ってた以上に、あっさり許してくれたから…」

そりゃまぁ、だからって?

「そうですね。考え直したけど、やっぱり僕達相応しくないから別れましょうか」って、手のひら返しされたら困るんだけど?

それは困るけど、でもどうしても聞かずにはいられなかった。

しかし。

結月君から出てきたのは、非常に意外な言葉だった。

「許して…って。許してくださいと頼んでいるのは僕の方でしょう?」

へ?

「あなたこそ、良いんですか?僕の理不尽な八つ当たりを、そんな簡単に許して…。いや、許さないと言われたら、それはそれで困りますけど…」

あ、私と同じこと考えてる。

いや、でも、何でそうなるの?

「何なら、気が済むまで投げ…るのは、唯華さんには無理か…。じゃあ、気が済むまで殴ってくれても良いですよ」

「えぇ?な、何で?」

「僕に腹を立ててるかと思って…。僕が八つ当たりしてしまったから」

八つ当たり…?

って、何の話?

「私、結月君が何言ってるのか分かんないや…」

「そうですか…。僕は、何で分かってもらえないのか不思議です」

ごめんね。

でも分かんないのよ。

「とにかく、謝らないと気が済まないので謝ります。傷つけるようなことを言ってしまって、申し訳ありません」

何で結月君が謝るのよ。

「謝るのは私の方でしょ?あの…罰ゲームのこと」

「…」

「湯野っち…あ、えぇと…湯野さんを、止められなくて…私…」

「…それを謝るべきは僕にじゃなく、緋村さんに、では?」

…確かに。

結月君に謝ってどうするの。

「…皆、私が変わったって言うの。前と比べてつまんなくなったって」

「…そうでしょうね。それは…僕のせいのんでしょうね」

「うん、多分そうだと思う」

結月君と出会ったから、君と会って、君と話して、君と過ごして、私は変わった。

以前の私じゃなくなった。

皆に言わせれば私は、つまらない人間になってしまったのだろう。

それは間違ってないのかもしれない。

…けど。