…カラオケから出ると、私は一人で家まで歩いて帰った。

誰も、私に話しかける人はいなかった。

話しかけられたとしても、まともに会話が出来たとは思えないけど。

私らしくない…か。

変わっちゃった…か。

…そうだね。変わっちゃった…自覚はあるよ。

たった一年なのに、私は全くの別人に変わってしまった。

その変化は良いことなのだと、ずっと思っていた。

でも…そうじゃないのかもしれない。

少なくとも、私が友達だと思っていた人にとっては。

私がつまらない人間になった、と思ってるのかも。

そう思われるのは心外だった。私の変化を、皆前向きに受け止めてくれているものだと思っていた。

でも…そういえば隆盛も、似たようなこと言ってたっけ。

私が変わってしまったって…。前の私の方が良かったって…。

…皆そう思ってるんだろうか?私が友達だと思っていた人は、皆。

私が、つまらない人間になってしまったと?

…そんなつもりはなかったのに。

私は結月君と引き換えに、これまでの友達から信用を失ってしまったのかもしれない。

湯野っちの、あのせせら笑うような顔が忘れられない。

「あの」緋村君を庇うなんて。「あの」三珠クンと付き合うなんて。

湯野っち達にとっては、有り得ないことなんだろうな。

かつての私にとって、そうだったように…。

でも、結月君は皆が思ってるような人じゃないんだよ。

これは本当のことなんだ。

そして、傷つけるかもしれないと分かっていながら、関係のない人を身勝手な罰ゲームに巻き込むのはいけないことだ。

これだって、紛れもない事実。私は、確かにつまらないかもしれないけど、でも間違ったことは言ってないはず。

…うん、そう。大丈夫だ。

私が言葉足らずだったんだ。明日改めて、ちゃんと話そう。

結月君が前に言ってた。想像力が欠如してるんだって。

それはつまり、想像力さえ働かせれば、ちゃんと分かるってことでしょ。

あんな罰ゲームはしたらいけないって。誰かを傷つけたら駄目だって。

ちゃんと話せば、きっと分かってくれるはず。

真菜と海咲だって。

私は確かに、以前の私とは変わってしまったかもしれない。

でも、決して改悪された訳じゃないんだって。

変わらず、皆と仲良くしたいんだってことも。

話せば分かってくれるはず。

そう信じて、私は翌日を迎えた。





…けれど。

私はその日、登校して僅か10分足らずで。

教室の中で、とんでもない光景を目にすることになる。