星と月と恋の話

…新学期が始まってから、およそ一週間が経ったある日の昼休み。

「ほーしちゃん、学食行こ」

湯野っちが、私に声をかけてきた。

しかし。

「ごめんね、今日お弁当なの」

「え?星ちゃんがお弁当って、珍しいね」

そうね。

前だったら、まず滅多にないことだったけど。

最近の私は違うのよ。

「別にお弁当でも、学食で一緒に食べれば良いじゃん」

そうね。

前だったら、湯野っちの言う通り一緒に学食に行って、そこでお弁当を一緒に食べたんだろうけど。

最近の私は違う。

「ううん。教室で食べるわ」

「…ふーん…そう」

湯野っちは、怪訝そうな顔をしていたけれど。

納得したのか、真菜と海咲を含む、別の女友達と連れ立って学食に向かった。

行ってらっしゃい。

一方、教室に残った私は。

学生カバンの中から、お弁当の入ったトートバッグを取り出して。

「結月君〜!今日のお弁当評価して〜!」

真っ直ぐ、結月君の席に向かった。

「?どうしたんですか?」

「今日は自信作なのよ。ちょっと評価して」

「ほう、大きく出ましたね…。…僕は辛口ですよ?」

「うっ…。だ、大丈夫よ」

料理に関しては、って言うか、家事全般についてはとても辛口な結月君である。

でも今日のお弁当は、そんな結月君でも「良し」と言ってくれる出来だと思うのよ。

自信を持って、結月君に見せよう。