星と月と恋の話

公園って言うから、てっきり。

ブランコや砂場や滑り台のある、小さい公園をイメージしていた。

うちの近所にもあるよ、公園。よく幼稚園児が遊んでる。

でも、この自然公園は、とても広かった。

学校のグラウンドの…何倍?

公園と言うより、広場って感じ。

その広場の中に芝生が敷いてあって、真ん中には噴水がキラキラと水飛沫を上げている。

広い遊歩道で、ジョギングに精を出す人もいれば。

小さな池の前で立ち止まって、池の中にいる鯉?か何かに、餌をやっている子供もいる。

ちゃんと遊具もあって、その遊具で子供を遊ばせている親子もいる。

かと思えば、さっき結月君が言ってたように、花畑を眺めているお年寄り夫婦の姿もある。

噴水のヘリに腰掛けて、談笑しているカップルも見受けられる。

あの人達も、自然公園にデートしに来たんだ。

へぇ。一応ここ、デートスポットではあるんだね。

結月君も、あながち馬鹿ではなかったということだ。

そういえば、この自然公園。

「昔来たことある気がする、ここ…。子供のとき」

「そうなんですか」

あのときは、確か両親と一緒に来て…。

ピクニックがてら、お弁当食べて帰ったんだっけ。

奇しくも数年後、私はまたこうして、今度は彼氏と一緒に来て。

また、同じようにお弁当食べて帰ろうとしてるよ。

まさかこんなことになるなんて。

デートスポットとして、あながち悪くない場所なのは分かったけど。

でも、公園は公園だ。

アミューズメントに溢れた映画館とは訳が違う。

一通り見たら終わりだよ、こんなところ。

この広い遊歩道を、のんびり歩くのも疲れそう…。
 
やっぱり帰ろうよ、とか。今からでも映画館に行こうよ、とか。

正直、そう言いたかったんだけど…。

「遊歩道、歩きましょうか。景色が綺麗ですよ」

なんて、結月君がちょっと嬉しそうに言うから。

今更、やっぱりやめようなんて言い出せない。

あぁ…好みが合わない。

でも、来てしまったからには今更引き返せない。

結月君ノリノリだしさ。

雨でも降らないかなぁ。強制的にお開きに出来るのに。

しかしこういうときに限って、皮肉なほどに晴天なんだよねぇ。

全然、雨は降りそうにない。 

お天道様に期待出来ないなら、私が出来ることと言えば…。

「そ、そうだね…。歩こっか」

内心、特大の溜め息をつきたいのを堪え。

なんとか笑顔を作って、結月君に応えることだけだった。 

あぁもう。泣きたい。