「春休み?課題がない?やったー遊ぼー」の思考になる私と。

「春休みか。課題もないし、復習と予習に費やそう」の思考になる結月君。

この落差よ。

「結月君…。君は偉い人だよ…」

『そ、そうですか…?』

「偉いのは良いけど、息抜きも必要だと思うのよ、私は」

普段息抜きしかしてないからね、私は。

息抜きの重要性は、よーく知ってる。

「そんな訳で、今日一緒に遊ばない?」

『…何がそんな訳なんですか?』

「春休み入ってから、一回も遊んでないじゃん。遊ぼ」

春休みは短いのよ。

ついでに言うと、青春だって短いのよ?

勉強も良いけど、遊ぶ方も頑張らなきゃ。

「それとも、この後何か予定があるの?」

『予定?そうですね…。家事が終わったら、母の手内職を手伝おうかと思ってたんですけど…』

わー。えらーい。

結月君に断られたら、ヒトカラでも行こうかな、なんて考えてた私とは大違い。

『まぁ、それは夜でも出来るので。遊んでも良いですよ』

お、やったー。

「じゃあさ、結月君。今日はうちに遊びに来てよ」

『えっ』

とうとう、お互いの家でお家デートを経験しよう。

『唯華さんの家、ですか…?』

「嫌?」

『え、いや…。嫌ではないですけど…』

「じゃあ、うちに来てよ」

『…』

と、何故か無言になる結月君。

…どうしたの。何で黙ってるの?

何か気になることでも?

すると、結月君はおもむろに、ポツリと聞いた。

『…僕、殴られるんですかね?』

「はい?」

『殴られても良いですけど、避けますよ』

何?どういうこと?

「何で殴られるの?誰に?」

『え?唯華さんのお父さんに…。貴様のような男に娘はやらん!的な展開で…』

あぁ、そういう心配してたの?

漫画じゃないんだから、そんな心配は要らないわよ。

「大丈夫よ。今日、家に誰もいないから」

両親共に、今日はお仕事で留守だ。

でなきゃ呼ばないわよ。

『そうですか…。それはそれで不健全な気がしますけど…』

「来てくれるでしょ?」

『分かりました。行きます』

よし、そう来なくっちゃ。

「じゃあ、学校で待ち合わせで良い?学校で合流して、うちまで案内するわ」

『はい。お願いします』

決まりね。

じゃあ今日は、結月君と私の家でデートってことで。