星と月と恋の話

翌日の昼休み。

「はぁ、お腹空いた…」

最近の口癖が抜けません。

今日も私のお昼ご飯は、タッパーに詰め込まれた山盛りキャベツと、ごぼう茶のみ。

茹でブロッコリー持ってこようと思ったけど…朝、ボーッとしてて用意するの忘れてたわ…。

「…あの、星さん」

「味気ない…味気ないわ…。もうキャベツ嫌いになりそう…」

「キャベツ嫌いになる前に、あの。今日も作ってきたんですよ、僕」

「コンビニスイーツとまでは言わない…。おにぎりが食べたい。おかかおにぎりが食べたい…」

「ほ…。星野唯華さん!」

「はいっ!?」

突然名前を呼ばれて、私はびっくりして我に返った。

も、もしかして、先生に当てられてた?

今何の授業なんだっけ?何処の問題?

あれ?私の目の前にあるの、教科書じゃなくてキャベツなんだけど。

私は授業中に、一体何をやってたの?

「ど、何処?どの問題?」

「え?何の問題も解かなくて良いですよ」

「へ…?」

顔を上げると、そこにいたのは怒った顔の先生…ではなく。

結月君だった。

あれ…?

「寝惚けてるんですか?授業中じゃないですよ。今は昼休みです」

昼休み…。

…そうだった。

「もう…!驚かさないでよ。先生に当てられたのかと思ったじゃない」

「だって、ほし…。…唯華さんが返事をしないから」

「だからって、大声出さないでよね」

びっくりしちゃったわよ。

…ん?何だろう今の違和感。

…まぁ良いか。

何だか、考えるのが億劫で…。

「それより、今日…ミネストローネ作ってきたんです」

「はい…?」

「ほら」

結月君はスープジャーに入った、ホカホカのミネストローネを差し出した。

…ごくり。

お昼にキャベツしか食べてない身には、どんな食べ物でも目新しくて、美味しそうに見える。

「ほんのちょっとだけベーコンを入れて、あとは野菜たっぷりです。栄養満点ですよ」

「…」

「これなら良いでしょう?野菜ばっかり食べてたんじゃ精が出ませんよ。…って、ミネストローネもほぼ野菜なんですけど…。たまには目先を変えて」

「…」

「食事管理も、インストラクターの仕事でしょう?キャベツしか食べないなんて、絶対良くないですよ。授業中倒れますよ?少しは違うものを食べましょう」

「…」

…そうやって、いかにも美味しそうなものを見せて私を誘惑するとは…。

あなたは、インストラクターの風上にも置けない人間だわ。

「…いいえ、食べません」

ちょっと誘惑に負けそうになったけど。

私の意志は、ミネストローネには挫けないわよ。