星と月と恋の話

そして、迎えた週末。

記念すべき…って、全然記念でも何でもないけど。

結月君との、初デートの日だ。

…あぁ、朝からすっごく憂鬱。

何だろう。朝、全然勉強してない科目で、小テストがあるのを思い出したみたいな気分。

ああいうのって最悪だよね。

今更足掻いたところで、点数が上がる訳でもなし。

素の実力で受けて、運命を受け入れるしかないの。

まぁ、私は小テストがあるからって、そこまで熱心に勉強したりしないけど…。

ガリ勉の結月君には、縁のない話だろうなぁ。

…ところで。

「何着て行こうかな…?」

私はパジャマ姿のまま、クローゼットの前で腕を組んだ。

デートのときの服装って、悩むよね。

これが本命とのデートだったら、前日どころか、何日も前から服について色々悩むんだろうけど。

相手は結月君なんだから、朝決めれば良いやと思って、朝になるまで決めてなかった。

結月君は、女の子にどんな服装を求めてるんだろ。

こればかりは人によるよね。

やっぱり女の子らしく、スカートにすべき?それともワンピース?

って言っても、私、普段はミニスカかショートパンツが多くて、ワンピースを着ることってあんまりないのよね。

まぁ、別に結月君の為に、服を選ぶ必要はないんだろうけど。

問題は私じゃなくて、結月君の服装だよね。

彼の私服姿なんて、見たこともない。想像もつかない。

物凄くダサかったりして…一緒に歩くの恥ずかしいレベルだったらめちゃくちゃ嫌だな…。

まさか、上下ジャージ姿で来たりしないよね?

超ダサい、安っぽいTシャツ姿だったり?

いくら何でも、初デートはそれはないだろう…と思ってはみたものの。

あの結月君なら、やりかねないと思えてしまうのが辛い。

何が嫌って、そんな結月君の隣を歩くことになるのは、他でもないこの私だということ。

彼がダサい格好をするのは、彼の勝手だけど。

その結月君の彼女として、私は彼の隣を歩かなきゃならないんだよ。

一体どんな目で見られることか。恥ずかしくて今日一日一緒にいられないよ。

…あぁ、想像しただけで憂鬱。億劫。

やっぱり行くのやめようかな、とも思った。

でも、さすがにドタキャンは失礼だし。

逃げ回ったって仕方ないから、結局、私は覚悟を決めたのだった。

結月君が少しでもマシな格好をしてくるよう祈るばかりだ。