星と月と恋の話

更に。

「そんなことやってるから、いつまでたっても痩せないんじゃないですか?」

グサッ。

そ、そうかもしれないけど…。
 
「良い?結月君。今も週3でコンビニスイーツを食べてはいるけど…でも最近食べてるスイーツは、そんなにカロリーの高くないスイーツを選ぶようにしてるの」

「はぁ、そうですか」

「前みたいに、生クリームやカスタードがたっぷりのケーキじゃなくて…。果物の乗ったプリンアラモードとか…。小さめのエクレアとか…。そういうお菓子を食べてるから」

「大して変わらないじゃないか、と思ったのは僕だけですか?」

えぇ、あなただけよ。

私にとっては、充分低カロリースイーツだから。

「だって、そのプリンアラモードの上に、生クリームは乗ってるんでしょう?」

「うん。乗ってる」

「…じゃあ無意味じゃないですか」

うぐっ。

そ、そんなことはないわよ。

「でも、一口よ、一口。ね?生クリーム一口だけ!それなら許されるでしょ?」

「そもそも、ダイエット中にコンビニスイーツを食べること、それも週に3回も4回も食べてる時点で、本気でダイエットする気があるんだろうか、って僕は疑問に思いますけど」

グサグサグサッ。

い、今のは…痛烈過ぎる連撃だったわ。

私の心を抉るのが上手ね、結月君。さすが私の見込んだインストラクターだわ。

「それは…クオリティオブライフよ、結月君。ダイエットは必要だけど、でも、人生には楽しみというものも必要だと思うの」

「食べることを楽しみにしてるから太るんでしょう?そこをやめない限り、多分一生そのままですよ?」

「…」

私の頭の中で、カンカンカーン!とゴングが鳴り響いた。

敗北を告げるゴングだった。

…負けたわ。

私のスイーツ欲が、結月君の正論の前に負けたわ。

完全敗北よ。

しかも、結月君は。

「って言うかあなた…。ダイエットする前から、週に4回もコンビニスイーツ食べてたんですか?いくらなんでも食べ過ぎでしょう。…砂糖依存症じゃないですか?」

死体に、容赦なく鞭を打ってくる。

やめなさい。勝負はもうついてるのよ。

誰か。レフェリー。止めて頂戴。

私のライフはもうゼロよ。

「コンビニからしたら、良いお客様だったでしょうね。新商品を入れる度に、アホみたいにホイホイ買っていくから…」

「もうやめたげてよっ!」

私は両手で、結月君の口を塞いだ。

これ以上の死体蹴りは、あまりに残酷というものよ。

泣き出すわよ?泣き出しちゃうんだからね?私。

もう分かったから、これ以上は勘弁して頂戴。