星と月と恋の話

こうして始まった、私のダイエットプロジェクトだが。

「…僕は何をしたら良いんですか?」 

と、結月君は困惑気味に尋ねた。

…そうね。

協力してもらうとは言ったものの、何をしてもらうかは考えていなかった。

…あら?

私のダイエット計画、一日目にして終了?

いや、そんなことはない。

「励まして、結月君。私を励まして頂戴」

「は、はぁ…。励ませば良いんですか?」

「えぇ、お願い」

まずはここから一歩を始めましょう。

「じゃあ、えぇと…。…頑張ってください」

これほど、何のやる気も出てこない励ましがあるだろうか。

棒読みじゃないの。

「何よ、その気の抜けた励ましは!ちゃんと励ます気あるの!?」

「そ、そう言われましても…」

「もっと真剣に!真剣に応援して頂戴!」

「わ、分かりました」

ごほん、と結月君は咳払いをした。

「星さんなら大丈夫です、必ずダイエットに成功します」

結月君は、私の目を真っ直ぐに見て言った。

そう。それで良いの。

…しかし。

「星さんの場合、太ってしまった原因は明白です。度重なる間食と暴食のせいで、今の体たらくになった訳ですから。それさえやめれば、きっとみるみるうちに痩せ、いたたたたた」

「よ・け・い・なことは言わなくて良いの!」

励ませとは言ったけど、傷口に塩を塗りなさいとは言ってないわ。

誰が暴食よ。

暴食なんてしてないわよ。ただちょっと…。

…ちょっと食べ過ぎちゃっただけよ。

えぇ、それだけよ。

だから、結月君の言う通り。

あの食べ過ぎさえやめれば、きっとすぐに痩せられるわ。






…と、思っていたのだけど。