星と月と恋の話

そりゃ私は結月君みたいに、料理が得意な訳じゃないけど…。

バレンタインのときくらい…女の子が男の子にお菓子をあげる、特別なイベントのときくらい…。

私も、結月君の手作り精神を見習ってみるべきなのでは…?

折角目の前に、簡単に作れそうなレシピがあるのに。

これを逃すのは、何だか勿体ない気がしてきた。

手作りって言っても、そんなにハードルが高いようには見えない。

もしかしてこれは罠なのか?

分からないけど…でも。

…。

…私が手作りチョコを持っていったら、結月君、喜んでくれないかな?

びっくりするかな?

「え?これ星さんが作ったんですか?」みたいな。

いつも家事スキルで結月君に負けまくって、女として全く立つ瀬がないから。

たまには、見返してやりたいと言うか…。

私だってやれば出来るんだよ!というところを、結月君に見せたい。

その為にこのバレンタインは、良い機会なのでは…?

…。

「…よし」

私は、意を決してベッドから飛び起きた。

ハサミを取り出して、雑誌のレシピを切り取る。

思い立ったが吉日。

幸い、明日は日曜日。まだ時間はある。

既製品を買ってきたものの…今からでも、手作りチョコに挑戦してみよう。

明日午前中、速攻でショッピングモールに行って。

手作りチョコの材料と、ラッピングアイテムを買いに走る。

で、午後からチョコを作る。

なかなかの強行スケジュールだけど、やって出来なくはないだろう。

大丈夫、大丈夫。

私だってやれば出来るんだということを、結月君に見てもらって。

そして、結月君に褒めてもらいたかった。






…なんて。

…儚い幻想を抱いたのが、間違いだったのかもしれない。