星と月と恋の話

「うーん…。どれが良いかな…」

色んなチョコレートを見て回る。

どれも美味しそうだから、自分用に欲しいなー。

…って、今はそれどころじゃないのよ。

友チョコ用とか自分用は、後で決めなさい。

まず本命よ、本命。

試食、させてもらいながら決めよう。

甘さ控えめで、出来れば和テイストなチョコレート…。

何かないかなー…。

すると。

ちょっと、珍しいチョコの試食販売をやっていた。

「…へぇ、紅茶味のチョコか…」

美味しそうかも。

紅茶は和テイストではないけどね。

甘ったるいチョコだったらアウトだけど。

試しに、試食させてもらってみる。

口の中に抜けるような、紅茶の芳醇な香り。

「…うわ、美味しい」

甘さ控えめで、紅茶の良い香りが口いっぱいに広がる。

うん、これは良いかも。

問題は、結月君が紅茶を好きかどうかだ。

これまで、結月君が紅茶を飲んでたことってあったっけ…?

…そんな姿は見たことがない。

大抵、煎茶飲んでたよね…。

このチョコ凄く美味しいし、甘さ控えめの条件はクリアしてるし、値段もそこそこ手が出る範囲で良い感じだけど。

紅茶味だから、紅茶が苦手な人にとっては辛いよね。

これの抹茶味とかあったら、完璧だった。

でも、ないものねだりしても仕方ないよね。

「んー…」

どうしよう。別の甘さ控えめチョコを探しても良いんだけど…。

…よし。

私は、最初の勘を信じる。

「よしっ、これください!ラッピングもお願いします!」

意を決して、私は紅茶味のチョコレートを購入した。

えぇい、ままよ。

大丈夫。結月君、実はあんまり好きじゃないものでも、笑顔で「ありがとうございます」って言える優しさを持った人だから。

嘘でも喜んでくれるに違いない。

そもそも、バレンタインを知っているのかどうかさえ怪しいんだから。

大丈夫大丈夫。

自分にそう言い訳をして、私は本命チョコを決めた。

これが吉と出るか凶と出るか…。それは、本人に渡してみなければ分からない。