星と月と恋の話

真菜と海咲に、結月君と付き合ってることを暴露したその翌日。

私は、早速とばかりに声をかけられた。

誰に、って?

それは…。

「なぁ、星野…。木村と佐伯に聞いたんだけど」

「え、何?」

隆盛が深刻な顔をして、私に迫ってきた。

木村と佐伯とは、真菜と海咲のことだ。

「お前、三珠とまた付き合ってるって本当なのか?」

…。

…あの二人。

言い触らさないでって言った傍から。

思いっきり言い触らしてるじゃないの。後でとっちめてやる。

でも…そうね。

隆盛には、ちゃんと…ハッキリ言っておいた方が良かったかもね。

罰ゲームの期間が終わったら、私と付き合いたいって…そう言ってくれてたんだもの。

「ごめん、言うの遅くなったわね」

「…本当に付き合ってるのか?あいつと」

「えぇ、本当よ」

私はきっぱりとそう答えた。

今度は罰ゲームじゃない。何も疚しいことはない。

本当に、本心から結月君が好きだから付き合ってる。

それだけだ。

しかし、隆盛にとってこのニュースはかなり衝撃的だったらしく。

「…」

唇を噛み締めて、ぶるぶると震え出さんばかりに、睨むような視線をこちらに向けていた。

…怒ってる?

「何で…何であいつなんだ?脅されでもしたのか?」

まさか。

どうしてそんな発想になるの。

「結月君はそんなことしないわよ」

潔い人だもの。

相手を騙したり、脅したりしてまで誰かと付き合ったりなんかしないわ。

私じゃないんだから。

「じゃあ、何で…。何であいつなんだ?あいつに好きになるようなところなんて、一つもないだろ」

…昨日の真菜や海咲と言い、今日の隆盛と言い。

どうして皆こう、結月君に手厳しいことばかり言うのかしら。

それはひとえに、結月君が本当はどんな人か知らないからに他ならない、

彼がどんな人なのか知っていたら、そんな発言は出てこないわよ。

むしろ、知れば知るほど、好きになる要素しか見つからないわよ。

とにかく優しいし。真面目だし律儀だし、親切だし。

頭は良いしスポーツは出来るし、それこそ女の子の憧れの的になる長所を、たくさん持ってる。

何より良いところは、女子より女子力が高いところかしら。

何だか負けたような気分になるけど。

そして、そんな色んな長所があるのに、そのことを全く鼻にかけない。

それが、一番の結月君の長所だと思う。

普通、あんなに特技があったら、自慢げに披露するわよ。

それなのに、一生懸命隠してるくらいなんだから。

全く、あの人は遠慮がちと言うか…謙虚な人だわよ。

悪いことなんて何もしてないんだから…もっと堂々としても良いと思うんだけどね。

だからこそ、こうして誤解されがちなのよね。

良いところなんて一つもないだろ、って。

でも、そうじゃないのよ。

結月君に良いところが一つもないんじゃない。

結月君が自分自身の良いところを、自慢げに吹聴しないから。

そして、私達もまた、結月君にあんな良いところがあるってことを、知ろうとしていないからなのよ。

でも、私はそのお陰で助かった。

そうでなきゃ、私が結月君と付き合うなんて無理だったもん。

あんな優良物件がいることを知られたら、あっという間に売れてしまうに決まってるわ。