星と月と恋の話

な…。

「…何がおかしいの?」

私、何か面白いことでも言った?

「いや、ごめんごめん。でも…ぷっ。星ちゃんが三珠クンと…」

「三珠クンも、随分な逆玉の輿に乗ったねぇ」

それはどういう意味よ?

玉の輿に乗ったのは、私の方でしょ。

「罰ゲームで付き合ってたのに、本気にしちゃうなんて…。しかも、まさか星ちゃんが」

「三珠クンとマジで付き合うなんて、有り得ないって言ってたのに」

「…それは…」

以前は…そうだったけど。

四ヶ月前の私だったら、有り得ないと言ってたでしょうね。

でも、今は違う。

結月君が、本当はどういう人か…今なら分かるから。

「一体三珠クンの何が良いのか、私達にはさっぱり分かんないわ」

「ね。付き合いたいと思うところが、あの人に一つでもあるの?」

…失礼な。

あんた達も、嘘でも三ヶ月、結月君と付き合ってみなさい。

彼がどれほど大人か。私達なんかよりずっと賢いかよく分かるから。

「人の彼氏に、失礼なこと言わないでよね」

「マジか。星ちゃん本気…いや、正気なの?」

「悪かったわね。至って正気よ」

血迷っていたのは、むしろ以前の私よ。

自分がどれほど幼稚なことをしているか、分かっていなかったあの頃の私よ。

「へぇ〜…。めっちゃ意外だわ」

「だよね。全然釣り合ってないもん」

そうね。釣り合ってないのは認めるわ。

ただし、一つだけ言っておくけど。

結月君が、私に釣り合わないんじゃない。

私が、結月君に釣り合ってないんだからね。

なんて言っても、二人共まともに取り合わないだろうけど。

「三珠クンと一緒にいて楽しいの?」

「それ気になる。いかにも、あんなつまらなさそうな人なのに」

一見つまらなさそうな人に見えるのは、私も同意するわ。

私だって、昔はそう思ってたもの。

だけど。

「何もつまらなくなんてないわよ」

むしろ話してみると、意外性の塊過ぎて、話のタネが尽きないもの。

私達が知らないようなことを、たくさん知ってるんだから。

「でも、恥ずかしくないの?私服とかもダサそうなのに」

「うん。私だったら、一緒に歩いてたら恥ずかしくて、表を歩けないけど」

酷い言い様ね、人の彼氏に向かって。

友達なら少しは褒めてくれたって良いのに。

だけど、二人を責めることは出来ない。

結月君の人となりをよく知る前の、昔の私だったら。

きっと今の真菜と海咲のように、無神経なことをいくらでも言っていただろうから。

「心配してくれて結構ね。少しも恥ずかしくないわよ」

一緒にいて恥ずかしいなら、そもそも付き合ったりしないわよ。

眼鏡かけてるってだけで、ダサいと思ってるでしょ。

よく見てみなさい。あれで結構、素顔はかなりイケメンなのよ。

ただ、ちょっと…いや、かなり草食系ってだけで。