星と月と恋の話

「何で結月君が素手で作ったものが気持ち悪いのよ。それどういう意味?」

「ちょっと、怒らないでよ星ちゃん」

別に怒ってないわよ。

ただ、理解出来ないから聞いてるだけ。

「どういう意味って言われても…。気持ち悪いものは気持ち悪いもん。ねぇ?」

「うん、有り得ないわ」

「…」

…理由なく気持ち悪がってるってこと?

私にしてみれば、その方が有り得ないわ。

「あのね、二人共。好き勝手なこと言ってるようだけど…」

「それよりさぁ、星ちゃん」

「…何よ?」

それよりって、今それより大事なことがあるの。

「星ちゃんって、もしかして、まだ三珠クンと付き合ってるの?」

と、真菜が聞いてきた。

…それは…。

…そうね、二人には、まだハッキリ言ってなかったわね。

そもそも、誰にも言ってなかったわ。

「もう罰ゲームは終わったじゃん。去年のクリスマスイブに、別れたんでしょ?」

「お疲れ会だってしたじゃん。それなのに、何でまだ三珠クンと一緒にいるの?」

真菜と海咲、両方に聞かれた。

「確かに、去年一度別れたわよ。罰ゲームは終わったから…」

それから一ヶ月は、私、随分腑抜けだったわよね。

今となっては、思い出したくない黒歴史の期間って感じだけど。

「…でも、また付き合うことにしたの」

「えっ」

「何で?」

何で、って…。

…改めて聞かれると、返答に困るわね。

でも、確かに言えるのは。

「しばらく結月君から離れてみて、分かったのよ。私は、やっぱり結月君のことが好きだって」

自分で言うと、結構恥ずかしい。

「だから、ずっと騙してたことを謝って…その上で、改めてもう一回付き合ってくれないかって頼んだの」

「…星ちゃんから頼んだの?三珠クンが縋ってきたんじゃなくて?」

結月君が縋ってくる?

それこそ、絶対に有り得ないことね。

「そうよ。私から頼んだの」

結月君には、もう二度と私と付き合う義理なんてなかった。

私に騙されていたんだから、当たり前。

私を憎みこそすれ、好きになるなんて有り得ないことだった。

だから、私が結月君の慈悲に縋ったのよ。

許して欲しいって。やり直して欲しいって。

断られることを承知で、自分の思いを伝えた。

そうしたら、結月君がその思いに応えてくれた。

それはひとえに、彼の優しさ故だ。

つくづく、私は結月君の優しさに助けられっぱなしだ。

彼が私の為にしてくれたことを、私は少しでも恩返し出来ているのだろうか?

それくらいいつも親切で、優しくて真面目で、こっちが申し訳なくなるくらいなのに…。

真菜と海咲は、私が結月君と付き合っている、と聞いて。

二人で、驚いた顔を見合わせ。

そして。

「…ぷっ」

二人共、堪えきれないという風に笑い出した。