星と月と恋の話

…貧乏臭くて食べられない、って何…?どういう意味?

「何が貧乏臭いの…?」
 
「いや、無理だって。これは食べられない」
 
「うん、私も無理だわ。…星ちゃん、よく平気で食べられるね」

えぇ、勿論。

胃袋と、お腹の贅肉が許す限り。

このタッパーのおはぎ、全部平らげたいくらいよ。

むしろ私は、この二人が何をそんなに気にして、おはぎに手を付けないのか理解出来ないわ。

普通の美味しいおはぎじゃない。

お店で売ってるものと何も変わらない。

いや、お店で売ってるものより美味しいくらいなのに。

何で敬遠するようなことを言うのか。さっぱり分からない。

…。

…じゃあ、それなら無理にとは言わないわよ。

結月君が折角作ってきてくれたのに、嫌々食べられたくないわ。

すると。

私は、同じく教室に戻ってきていた正樹と隆盛の姿を見つけた。

丁度良い。

真菜と海咲が、嫌だって言うなら…。

「ねぇ、正樹。隆盛」 

今度は、この二人に声をかけてみよう。

「ん?何だよ」

「こっちに来て、おはぎ食べない?」

最高に美味しいわよ。

「え、おはぎ…?そんなの買ってきたのか?」

二人共、興味津々の様子でこちらに歩いてきた。

よしよし、いらっしゃい。

「買ってきたんじゃないの。結月君が作ってきてくれたのよ」

「え…?」

正樹も隆盛も、訝しげに結月君を見つめた。

「美味しいから、食べてみて。お店のより美味しいから」

「えぇ…。三珠が自分で作ったとか。俺は遠慮しとくわ」

と、正樹は半笑いで言った。

何よ、その顔…。

「手作りなんて、何入ってるか分かったもんじゃないだろ」

「おはぎなんだから、お餅とあんこしか入ってないわよ」

「いや、そういう意味じゃなくてさぁ…」

じゃあ、どういう意味よ。

正樹も真菜と同じで、人の握ったおにぎり食べられないタイプなの?

そんなに繊細なじゃないでしょ、あんたは。

更に、隆盛も。

「わざわざ手作りしてきて、皆に食べてもらうとか…。自己顕示欲凄いのな」

嫌悪感をあらわにして、結月君に向かってそう言った。

これには、結月君より私の方がムカッと来た。

その言い方は何よ。失礼でしょ。

しかも。

「私が頼んだのよ。結月君に作ってきて欲しいって」

結月君が自主的に作ってきたんじゃないわ。

私が頼んだから、結月君はそのリクエストに応えてくれただけで。

大体、手作りのお菓子を持ってくるだけで、どうして自己顕示欲がどうのって話になるのよ。

意味分からないわ。

「皆して、食わず嫌いして…」

「いや、おはぎが嫌いなんじゃなくてかぁ…」

じゃあ、何よ?

四人共、結月君をじろじろと品定めでもするように見ていた。

「…ねぇ、星ちゃんってさ…」

真菜が、私に何かを聞こうとした。

すると。

「…大丈夫ですよ、無理して食べなくても…。僕が作り過ぎたのが悪いんですし」

あれだけ、この四人に失礼なことを言われたのに。

結月君は、何も気にしていないみたいな笑顔でそう言った。