星と月と恋の話

何も気づかない呑気な私は。

数日後、有言実行して、結月君が握ってくれたおはぎを見て大喜びだった。

「凄い、結月君。本当に作ってきてくれたのね」

和柄のワンピースと言い、このおはぎと言い。

頼めば何でもしてくれようとするのね、君は。

私、一体どんなお返しをしたら良いのかしら。

「しかも、結構多いわね」

そこそこ大きめのタッパーに、可愛らしいおはぎがたくさん並んでいる。

「済みません、久々に作ったので、つい大量になってしまって…」

いや、君が悪いんじゃないのよ。

リクエストしたのは私なんだから。

しかも、このおはぎ。

あんこ、きな粉、青のりの豪華三種類。

よりどりみどりじゃないの。贅沢だわ。

「美味しそう。食べて良い?食べても良い?」

「どうぞ」

やったー。

私は、まず一番好きなきな粉のおはぎに手を伸ばした。

結月君の、お手製おはぎ。

彼氏の手作りおはぎなんて、食べさせてもらえるのは私くらいよ。

なんて贅沢かしら。

「じゃあ、いただきまーす」

もぐ。

もぐもぐ。

「どうですか?」

「…めっちゃ美味い」 

私は、口の中いっぱいにおはぎを頬張りながら、親指をグッと立てた。

素晴らしいわ。文句ない味よ。

「結月君、和菓子屋開けるんじゃない?」

「い、いえ、そんな…。そこまでじゃないですよ」
 
いや、イケるって。

だって、凄い美味しいんだもん。

少なくとも、スーパーのお惣菜コーナーで、お彼岸のときに売ってるおはぎよりは美味しい。

「こっちのあんこも食べて良い?」

「勿論ですよ。…星さん、粒あん大丈夫ですか?こしあんの方が好きでした?」

あー、粒あん派とこしあん派の、仁義なき戦いね。

「とんでもない。私は粒あん派よ」

「そうなんですか。僕も粒あんの方が好きなんです」

皮のプチプチした食感が、癖になるわよね。

こしあんも滑らかな味で好きだけど。

やっぱり、粒あんの方が好きだわ。

きな粉も美味しいけど、オーソドックスな粒あんのおはぎも、すっごく美味しい。

ついつい、いくらでも食べられそうだわ。

「もぐもぐ。こんなに美味しいのに、二人だけで食べるのは勿体ない…」

と、呟いた、そのとき。

「…あ」

教室の入り口に、ふと目を向けると。

今日も学食でお昼を済ませてきた真菜と海咲が、教室に戻ってきたところだった。

丁度良かった。

「ねぇ結月君、これいっぱいあるし、真菜達にも食べさせてあげて良い?」

名案とばかりに、私は結月君に尋ねた。

こんなに美味しいんだもの。

折角だから、他の人にも食べて欲しいわ。

「え?い、良いですけど…」

やった。

「真菜、海咲、ちょっと来て。ちょっと」

私は、早速二人を呼んだ。