星と月と恋の話

結果。

「これなら大丈夫ね?知ってるのよね?」

「は、はい。大丈夫です」

「じゃあ、一曲目はこれにするわね」

結月君の了解を得て、選択した曲は。

童謡、『さくらさくら』。

…こんなの誰が選ぶのよ、って思っていたものだけど。

他でもない自分が、セレクトすることになるとは。

だって仕方ないじゃない。

結月君が知ってる曲を選ぼうと思ったら、本当に子供の童謡から選ぶしかなかったんだもの。

童謡なら、小学校の音楽の授業で歌ったから覚えてるんだって。

そりゃ、私だって覚えてるけども。

太鼓の鉄人ってさ、今流行りの曲が次々と実装されて、「あっ!あの曲入ってるの!?やろう!」みたいな喜びがあると思うのよ。

あれも、太鼓の鉄人の醍醐味よね。

しかし今は、そんな醍醐味は全然味わえてなかった。

童謡なんて、初めてプレイするわ。

子供の童謡だけあって、難易度も子供向けに設定されているのか。

何だか難易度が凄く低いから、「難しい」モードでプレイしても大丈夫そうね。

このゲーム、なかなか得意ではあるけど…。

初心者の結月君がいる手前、さすがに難易度「鬼」はやり過ぎかなって。

それに、私も太鼓の鉄人で童謡をプレイするのは初めてだもの。

ここは難易度「難しい」くらいが無難だわ。

それて。

「結月君、難易度は『簡単』にしたら?」

「え、ど、どうやってやるんですか?」

「太鼓の縁を叩くのよ」

「こ、こうですか?」

「そこは面よ」

「えっ!」

難易度「簡単」にするはずが、結月君が面を叩いちゃうものだから。

デフォルトの、難易度「普通」で決定されてしまった。

太鼓の鉄人あるある。難易度設定画面で押し間違える。

私も何回か経験あるわ。大丈夫よ。

「これ簡単な曲だから、難易度『普通』でも出来るわよ。基本を忘れないで」

「はい。えーと…青が面、赤が縁ですよね?」

「逆よ」

不安。

既に不安な香りしかしないわ。

「あ、逆ですか。わ、分かりました」

「ほら、始まるわよ。頑張って」 
 
画面が動き出し、渋い楽曲が流れ出す。

こんな曲、初めてだわ。

しっとりしたスローテンポで、逆に難しい。

アップテンポの方がやりやすいときってあるわよね。

でも、多分大丈夫。

フルコンボさえ目指さなければ、ノルマクリアくらいは出来るわ。

よし、頑張ろう。