星と月と恋の話

このクレーンゲームは、左方向と上方向の二方向のボタンを押して、アームを動かすタイプ。

ボタンを押せるのはそれぞれ一回きりで、押しっぱなしで動き続け、ボタンから手を離すと、二度とその方向には動かせない。

一発勝負のクレーンゲームだ。

うーん。見栄を張ったは良いけど、結構難しいタイプね。

良心的なクレーンゲームだと、何回でも、満足な位置にアームが来るまで動かせる、っていうタイプもあるんだけど。

これは一回きりだから「あっ、押し過ぎた!」とか、「ちょっと足りなかった!」と思っても、やり直せないのよね。

集中よ、集中。集中しなくちゃ。

まぁ、一回で取れなくても。

何回か回数に分けて、徐々に獲得口に落とせば良いわよね。

「よしっ…」

張り切って、まずは横方向のボタンを押す。

ウィーン、とアームが動く。

横の距離は…よし、こんなものかしら。

ボタンから手を離すと、ピタッ、とアームが止まる。

うっ、ちょっと足りなかったかしら?日和った?

仕方ない。せめて上方向の距離は掴んで…。

上方向のボタンを推し、ここだと思うところで手を離す。

「えいっ」

自動的にアームが開きながら、みょーん、と降りてくる。

…が。

「あっ…」

私が操作したアームは、ぬいぐるみの腕を掠めただけで。

ほんの僅か、「ん?今ちょっと当たった?」くらいのダメージしか与えることが出来ず。

無情にも、そのままアームは初期位置に戻った。

ファーストチャレンジ、失敗。

「ほらぁ…。無謀だって言ったじゃないですか」

ムカッ。

何よ。お母さんみたいなこと言って。

「今のは、ちょっと横方向に足りなかっただけだもの。次はもっと上手くやれるわ」

「えっ、まだやるんですか」

「一回きりで諦めたりしないわよ」

諦めるにしても、もうちょっと粘ってから諦めるわ。

「諦めの悪いことは大抵の場合良いことですが、時には引き際を弁えることも必要…」

「あーはいはい、じゃあ二回目〜」

「あっ…」

こうなったら、絶対取ってやる。

私を不器用だと言ったこと、後悔させてやるんだから。




…とは、言ったものの。