星と月と恋の話

「今日ここに来たときからずっと、上の空だっただろう」

「…」

「何かあった…いや、何かあったんだろう。何があった?」

…母と言い、加賀宮さんと言い。

何で、僕の考えてることが分かるのか。

そんなに分かりやすいか?僕は…。

星ちゃんさんに比べれば、全然…。

…って、だから何で、彼女と比べてしまうのか。

関係ないだろう。あの人はもう。

…ふとまた、星野さんの泣き顔が頭に思い浮かんだ。

…何でまだ、僕の脳裏に蘇る?

いい加減消えてくれ。お前はもう、僕の人生に必要ない。

「…何か顔に出てます?」

「出てない。お前は隠すのが上手いからな。だから…ただ、そんな気がしただけだ」

…隠すのが上手いって言ったって、肝心の母やあなたを騙せなかったら、意味ないでしょうに。

「しばらくうちに来なかったのも、それが原因なのか?」

クリスマスプレゼントに関しては、あんなに間抜けな癖して。

こういうことだけは無駄に鋭いんだから。

無月院流の継承者は、伊達ではないってことか。

じゃあ、僕も遠慮なく。

ここに来た本当の目的を果たすことにしよう。

丁度さっきから、ずっと頭の中をチラつく影が、鬱陶しくて堪らないところだったんだ。

「…ちょっと、お願いがあるんですけど」

「何だ?」

「僕を投げてください」

「…」

…言っておくが。

僕は、至って真面目だからな?